モバイル通信の概要

モバイル通信の概要

回線交換方式

ダイヤルされた電話番号を元に、電話会社の交換機が発信者と着信者の間に伝送路を設定して通信を開始する。通信中は両者が回線を占有するので、通話品質が安定している。主として音声通話に利用されている。

パケット通信方式

送受する情報をパケットというデータ量の単位に分割し、各パケットの先頭に宛先や制御情報から構成されるヘッダを付加してデータ専用の回線を通じて送受信する。回線を複数ユーザーで共有出来る。主としてデータ通信で利用されている。


携帯電話の通信方式

セルラー方式

ひとつの周波数の電波を何人もが同時に使うと、通信に問題が生じやすくなる。その為、各周波数ごとに電波の届く範囲に境界を設けセルというブロックを作ります。隣り合ったセル同士で異なる周波数を使うことで混信などを防止しています。

ハンドオーバー

端末が基地局から離れる事で電波が弱くなってくると、端末はより電波の強い基地局を求めて電波を探し始めます。そして強い電波を見つけると接続先を切り替えて通信を継続します。この機能をハンドオーバーといいます。

位置登録

端末の移動により接続先の基地局が替わる度にその基地局がどの交換局に接続されているかチェックします。以前の通信と交換局が切り替わっていた場合、新しい交換局のカバーエリア内に自身が居ることを通知します。この機能を位置登録といい、常に交換局が端末がどこに居るのかを把握できるようになっています。

電波の性質

移動体通信で利用されている周波数

以下が移動体通信事業者が使用している周波数です

周波数帯 移動体通信事業者
700MHz帯 NTTドコモ、KDDI
800MHz帯 NTTドコモ、KDDI
900MHz帯 ソフトバンク
1.5GHz帯 NTTドコモ、KDDI
1.7GHz帯 NTTドコモ、Y!Mobile
2.0GHz帯 NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク
2.5GHz帯 UQコミュニケーションズ、WCP
3.5GHz帯(予定) NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク


移動体通信で利用される電波の特性

電波は発生源から放射状に広がり、その過程で空気を含めた様々な障害物によって徐々に減衰していきます。基地局から直線的に届けられる電波を直接波、建物などで反射された反射波、電波を建物などの裏に回り込む回折波といい、これらの経路をマルチパスといいます。これらの電波の特性を生かして通信が行われます。
建物内などで電波が届かず通信が出来ない電波不感地帯では、小規模基地局や電波を中継する設備(リピータ)を設置するなどして利便性の向上に努めています。


携帯電話の通信方式

通信チャンネル

携帯電話では音声やデータを変調した信号を送信して、受信側はその信号を復調します。この信号のやりとりをする回線をチャンネルといいます。

搬送波(キャリア)

無線通信で使用する電波の周波数の最小単位を搬送波(キャリア)と呼びます。信号を載せられる最小単位です。無線通信で使われる周波数の帯域幅の中には、たくさんの搬送波が含まれています。

FDMA方式(Frequency Division Multiple Access)周波数分割多元接続

割り当てられ周波数帯を一定の周波数間隔に分割して使用する方式です。チャネル毎に使用する周波数が設定されるので、周波数の違いで相手を識別して通信します。
第1世代のアナログ携帯電話から採用されています。

TDMA方式(Time Division Multiple Access)時分割多元接続

FDMAで分割された一つの周波数のチャンネルを更に一定時間ごとに分割することで複数のチャンネルを確保する方式です。タイムスロットという分割された時間単位を利用して通信を行います。タイムスロットは周期的に繰り返されるため送受信時にタイミングを合わせて同じタイムスロットを使用して会話をします。ユーザーはタイムスロットで相手を識別して通信します。
第2世代のデジタル携帯電話より採用され、欧州を中心に利用されているGSMや2Gでなどで使用していたPDC方式がこれに相当します。

CDMA方式(Code Division Multiple Access)符号分割多元接続

チャンネルをPN符号という符号を使用して分割し、割り当てられた符号によって相手を識別して通信を行います。広い同一の周波帯域に異なるチャンネルの信号が展開されて、受信側は符号を使用して目的の信号を取り出します。CDMA方式は電波干渉に強く符号を暗号化することで秘匿性も高まります。
第3世代(3G)の携帯電話で採用されています。
CDMA方式は通話には適しているのですが、データ通信の際に大量のデータ通信をしている搬送波と、通信を行っていないのに電波を独占している搬送波が混在するという現象が起こり電波資源の利用効率が悪くなるという問題がありました。それを解決したのが次のOFDMA方式です。

OFDMA方式(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)直交周波数分割多元接続

FDMA方式と同じく1チャンネル分の周波数帯域を割り当てて伝送します。FDMA方式は隣接するチャンネルを空けておく必要がありましたが、OFDMAでは互いに重なり合っている状態で正しく伝送できる幅の狭いチャンネルを多数用意して、通信の伝送速度に応じてチャンネルを割り当てて伝送します。
第3.9世代(LTE)で採用されています。

通信の国際標準規格


IMT-2000

黎明期の携帯電話サービスは各国ごとに通信サービスの仕様が異なったため、第2世代から欧州、日本を除くアジアではGSM方式を採用することになり、順に北米、南米、オセアニアなどにも広がりました。
そして第3世代に国際的に通信規格を統一するために作られた規格がIMT-2000です。
日本ではこの企画の中からW-CDMA方式とCDMA2000が導入され、後にモバイルWiMAXも導入されました。


IMT-2000の要求条件

  • 世界で統一された通信方式と周波数帯域を利用
  • 静止時に2Mbps、歩行時に384kbps、車速でも144kbpsのデータ通信速度を実装
  • 固定電話並みの通話品質


主な移動体通信方式

方式名 特徴 利用地域など
PDC NTT方式の第2世代 日本・NTTドコモが導入
GSM 欧州規格の第2世代 210以上の地域で利用され、日本でのサービスの提供は無いが端末は発売されている
PHS コードレス発展型 日本・アジア諸国。ウィルコムが導入
cdmaOne 米国Qualcommの第2.5世代 米国・韓国・イスラエル・日本。日本ではKDDIが導入
W-CDMA 日欧提案の第3世代 主に欧州・日本。NTTドコモ・ソフトバンク・ワイモバイルが導入
CDMA-2000 米国提案の第3世代 米国・カナダ・日本・中国・韓国など。KDDIが導入
モバイルWiMAX IEEE技術ベースの第3世代 欧米・アフリカ・アジア・韓国・日本など。UQコミュニケーションズが導入
LTE 3GPPで策定されたOFDMAを利用した第3.9世代技術 欧州・アジア・日本。日本の各社が導入
LTE-Advanced LTEを拡張した第4世代技術 欧米・アジア・日本・韓国。日本の各社が導入
AXGP PHSを高速化したXGPの改良版 日本ではソフトバンクの子会社が導入


新しい第3.9世代携帯電話方式


モバイルWiMAX

従来の無線LANに比べ、より広範囲で利用できて移動中でも接続できるように開発されたワイヤレスブロードバンド。
IEEE802.76eという無線規格をベースにOFDMA方式の多元接続方式を用い、半径2~3キロ程度の範囲で端末が時速120Km程度で移動中でも通信が可能。

LTE(Long Term Evolution)

携帯電話技術の標準化団体である3GPPが策定した規格でOFDMA方式を採用している。
LTEの基幹ネットワークは、全ての通信をパケット方式で処理することを前提に設計されている。将来的には音声通話もデータ通信と同等に扱うことが見込まれている。

AXGP

ウィルコムに与えられた2.5GHz帯の周波数を利用して次世代PHSのサービスとして展開する予定だったものをソフトバンクの子会社が継承して、AXGPとしてサービスを開始。PHSのマイクロセルを継承しつつTD-LTE方式と互換性をもたせた方式です。


FMCの概要とフェムトセルの活用


FMC

同じモバイル端末を使いながら場所や電波環境に応じた最適なネットワークを選べる利用方法。現在、固定電話・携帯電話・IP電話と個別のでんwな番号が与えられているが、FMCサービスを導入すれば1つの番号で使えるようになります。FMC実現に向け様々な法整備が行われています。

フェムトセル

数メートルといった狭い範囲をカバーする基地局で、固定系ブロードバンドに接続します。フェムトセルから固定系ブロードバンドを経由して通信・通話します。













  • 最終更新:2017-04-22 16:29:41

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